私は、自分が住んでいた家を行政代執行によって片付けられた当事者です。かつては普通の会社員でしたが、仕事での挫折と重なる家族の不幸から、次第に物を捨てることができなくなりました。最初は「いつか使うから」という思いでしたが、気がつけば天井までゴミが積み上がり、自分でもどうしていいか分からない地獄の中にいました。市役所から何度も指導や勧告の手紙が届きましたが、恥ずかしさと恐怖から開封することさえできず、現実から目を背け続けました。そしてある日、ついに代執行の日がやってきました。大勢の作業員が私の家に押し寄せ、長年溜め込んだ物が次々とトラックに積み込まれていく光景は、自分の人生をバラバラに解体されているようで、ただ呆然と立ち尽くすしかありませんでした。近所の人の好奇の目に晒され、逃げ出したい思いでいっぱいでした。しかし、作業が終わった後の何もない部屋に入った時、私は不思議な解放感も感じました。行政の担当者の方は、私を責めるのではなく「これからどう生きていくか一緒に考えましょう」と優しく声をかけてくれました。代執行の費用として莫大な請求書が届いた時、自分の犯したことの重さを痛感しましたが、同時に、あのままゴミの中で死ななくて良かったという感謝の気持ちも湧いてきました。今は市のサポートを受けながら、小さなアパートで慎重に、しかし清潔な生活を送っています。行政の代執行は、私にとって人生の最悪の瞬間でしたが、同時に唯一の救いでもありました。もし、今ゴミ屋敷で動けなくなっている人がいるなら、どうか行政の手が差し伸べられた時に、その手を拒まないでください。代執行になる前に、助けを求める勇気を持ってほしいのです。私のような思いをする人を一人でも減らすために、私は自分の恥ずかしい過去をこうして語り続けます。ゴキブリは、いわば「今すぐ片付けろ」という住環境からの警告灯です。その警告灯が消えている部屋は、ブレーキの壊れた車を運転しているようなもので、いつ破綻するか分からない危険な状態にあります。もし、あなたの部屋がゴミ屋敷でありながらゴキブリがいないのであれば、それは幸運ではなく、環境が極端に偏っているという「深刻な異常事態」であると認識を変えるべきです。目に見える虫の有無ではなく、床が見えるか、窓が開けられるか、普通の人間が普通に過ごせる空間かという、より本質的な基準で自分の生活を見つめ直してください。