私は数年前まで、都内のワンルームマンションで、いわゆる汚部屋の住人として暮らしていました。玄関を開けた瞬間に鼻を突く異臭、膝の高さまで積み上がったコンビニ弁当の空き殻やペットボトル、そして何層にも重なった不用品の山。かつては会社員としてバリバリ働いていた私が、なぜこれほどまでの惨状に陥ってしまったのか、自分でも説明がつかないまま月日が流れていきました。きっかけは、深夜まで続く残業と上司からのパワーハラスメントでした。帰宅すると指一本動かす気力も残っておらず、食事を済ませた後のゴミを袋に入れることさえ、エベレストに登るほどの重労働に感じられました。最初は「週末にまとめて片付ければいい」と思っていましたが、その週末も疲れ果てて寝込むだけで、ゴミは雪だるま式に増えていきました。汚部屋の住人になってからは、友人との連絡も絶ち、誰とも会いたくないという思いが募りました。インターホンが鳴るたびに居留守を使い、自分が社会から隔離されていくような感覚に陥りました。ゴミの山に埋もれて眠る夜、私は自分の存在そのものがゴミと同じ価値しかないのだと本気で信じ込み、深い絶望の中にいました。転機が訪れたのは、マンションの管理会社から配管点検の通知が届いたときでした。このままでは部屋に入られる、社会的に終わってしまうという恐怖が、私を突き動かしました。恥を忍んで実家の妹に連絡し、泣きながら現状を打ち明けると、彼女は私を責めることなく、一緒に片付けてくれると言ってくれました。専門の業者を呼び、三日間かけて何百袋ものゴミを運び出した後の部屋は、ガランとしていて、あまりにも広く感じました。床に差し込む日光を見たとき、私は自分がどれほど長い間、暗闇の中にいたのかを痛感しました。汚部屋の住人という生活から抜け出した今、私は毎日ゴミを出すという当たり前のことが、どれほど自分自身の尊厳を守ることであるかを知っています。もし今、あの頃の私のように絶望している人がいるなら、どうか知ってほしい。どんなにひどい状態でも、勇気を出して誰かに助けを求めれば、必ず元の世界に戻れるということを。