ゴミ屋敷、特に天井まで物が積み上げられた状態の家屋に住む人々の心理は、非常に複雑で、外からは理解しにくい側面を持っています。彼らが物を捨てられないのは、単なるズボラや片付けが苦手というレベルでは説明しきれない、心の奥深くに根差した問題が潜んでいることが多いのです。天井に届くほどのゴミの山は、住人の発する無言のSOSであり、その背後には様々な心の物語が隠されています。彼らが物を溜め込む背景には、まず「もったいない」という気持ちが挙げられます。これは多くの日本人が持つ感覚ですが、それが極端な形で現れ、いつか使うかもしれないという思いから、あらゆる物を手放せなくなってしまうのです。特に、過去に経済的な苦労を経験した人や、物の少ない時代を生きてきた高齢者にこの傾向が見られます。一つ一つの物には、過去の思い出や、将来への不安が投影されており、それを捨てることは、自分自身の過去や未来を否定するような感覚に陥ることもあります。次に、「収集癖」や「強迫性障害」といった精神的な要因も無視できません。特定の物を集めることに強い執着を見せたり、物を捨てられないことへの不安や恐怖を感じたりする場合があります。このような人々にとって、物が散らかった空間は、決して汚いものではなく、むしろ安心感を与えてくれる「聖域」であることがあります。物が溢れていることで、孤独感が和らいだり、自分だけの世界を築いているという感覚に浸ったりすることもあるのです。また、人間関係の希薄化や孤立も大きな要因となります。家族や友人との関係がうまくいかない、あるいは死別などによって深い孤独感を抱えた人々は、その心の隙間を物で埋めようとすることがあります。物が唯一の話し相手であり、精神的な支えとなることで、さらに物を溜め込む行為がエスカレートしていくのです。天井まで積み上げられたゴミは、彼らが社会から隔絶され、誰にも助けを求めることができない状況にあることを示唆しています。
ゴミ屋敷住人の心理?天井まで積まれた物が語るSOS